インバウンド観光ビジネス ~中国専門ブログ~

中国住在歴12年の経験と知識から、対中国インバウンド観光ビジネスにおける考えや、提案を発信していきます。

第5回 中国人よなぜ並ばない?

さて、今回より中国人のマナーや考え、ルールなど、直接、皆さんが疑問に思ってる内容を発信していきます。

今後皆さんが、観光客やビジネスの間で中国人と直接関わることもより増えてくると思います。
その時に、もし印象が悪かったら、ただの嫌悪感や悪口、もう関わりたくないと思う人もいるのではないでしょうか?

もちろん、そう思うのは自由です。しかし、これから先の経済や、ビジネス、世界の動きを考えた時に、中国を切り離して考えることはできないんだろうなと多くの人が漠然とは思っているでしょう。

どっちみち、そうであれば、先ずは相手の国、相手の考えを知る。そこがクリアになれば、より相手を身近に感じ、観光客対応の受け入れもビジネスもより信頼関係が生まれてくると思っています。

先ず、その最初として、中国人の並ばない問題について話していきます。

中国人が列に並ばない、割り込みをする。おそらく、このようなニュースや報道は、あちこちで聞いたことあると思います。
実際、私が04年に中国で生活を始めた頃、近所にあった肉まん屋に行きました。
そこの、支払方法と商品受取方法の説明をすると、①いくつかの肉まんのメニューから好きな商品を選ぶ、②その商品を口頭で受付のおばさんに伝える、③直接お金を受付のおばさんに渡す、④お金を渡したと同時に商品をもらうというシステムでした。

そのシステムは、知人から教えてもらい、早速店に行きました。受付の前には人がごった返しています。しかも、前も後ろもその他いろんな角度から各々が大声で商品名を叫ぶ声が飛び散らかっています。客は、コインを握りしめた右腕を極限まで伸ばし、受付のおばさんに気付いてもらえるように必死にアピールしています。

反対に、受付のおばさんは、客が極限まで腕を伸ばし持っているコインを、自分が受取りやすい順に受け取り、その人に肉まんを渡しています。
要は、受付のおばさんがコインを受け取りやすいか受け取りにくいかで、肉まんを渡す順番が決まります。

そのような状況に当初慣れず、取りあえず、常識ある行動として、日本と同じように並んみることにしました。しかし、前にはどんどん人が割り込んでくるし、後ろからはジャマだドケと割込みされるし、一向に自分の番が回ってきません。そんな中、ちょうど中国人の知人が近くを通りかかり、自分がいることに気付いてくれたのですが、その時に『黙って並んで待ってるだけなら、中国では一生物は買えないよ』と言われたのを、今でも鮮明に覚えています。

その他にも、銀行に口座を作りに行った時のことです。今でこそ、中国も日本と同様、番号札がありますが、当時は、番号札なんかありませんでした。
でも、さすがに銀行です。お店とは違い、一列に並べるようにサイドにポールが設置されており、並ぶようになっていました。
が、いざ、自分の順番になり窓口で金銭のやり取りをしてると、急に隣で気配を感じ振り向いたら、見知らぬおじさんが立っており、お前の対応遅いから早くしろと言い、まだ手続き途中の自分を押しのけようとして、自分の通帳やお金を受付の女性に強引に渡そうとしてきたのです。さすがに、そこは受付の女性もその人に注意し、問題なく手続きは終わりました。

要は何が言いたいかというと、このような状況が、今から、たった15年ぐらい前の中国の主要都市での話です。
お話した内容は、特に印象に残ってる話であって、並ばない問題でキレたことはほぼ毎日のようにどこかで起こり、酷い時は路線バスの乗車口で人がごった返してる中、強引に割り込んできた人に、思いっきり肘打ちされたり、逆にやり返したりしたこともありました。

2010年に上海万博が開催された時も、みんな夏の暑い中並んでるのに、幼い子供にどんどん前に故意的に割り込みさせ、後方からお母さんが子供を追っかけるように見せかけ一緒になって前に割り込んでくる人が結構な数いて、腹立たしかったことを今でも鮮明に覚えています。

そんな並ばないメチャクチャな頃の中国を経験してきたこともあり、今日本に観光できてる中国人が並ばないと問題視されてることには、何も驚かないし、むしろ、あの頃に比べたら全然並んでるし、かなりマナーは守れてるんじゃないかとも思ってしまうんです。

実際現在では、上海や北京、広州といった中国を代表する主要都市で生活してる人たちの多くは、並ぶ習慣もついてきていますし、並ぶマナーが身についてきています。ですが、毎回言うように、中国は広いんです。主要都市には、あちこちの町や農村部から出稼ぎに来てる人もたくさんいます。
その人たちは、元々、田舎暮らしで並ぶ習慣もきちんとしたマナーもなく育ち、学校などもまともに出てない人もいる為、いくら都市部で生活してても、生活にも金銭的にも余裕が無く、自分のことで精一杯、自分の得だけを優先して考えるという人も多いんです。
なので、残念ながら、そのような貧困層の人たちにマナーとかを押し付けても、まだまだ現実的に受け入れてもらえないのが現実問題としてあります。

その他に、並ぶことができない人が多いのは、年配層です。特に50代以降の人で、若い頃は貧しい生活をしていて、ここ10年ほどで急にお金持ちになった人々に目立つ気がします。彼らが若い時代は、中国も激動の時代であった為、貧しい生活、学歴もない人(小卒、中卒)も多かったと思うんです。それがここ10年ぐらいで、急にお金持ちになったことで、お金はあるけど、常識やルール、マナー、は知らない。
このような人たちが、現在、観光で日本に来てるケースがとても多い印象を受けています。

なので、そういう背景があるので、皆さん是非、並ばなくても温かく見守ってあげましょうとは絶対言いません。
もちろん、日本でのマナーはしっかり守ってもらわなくては困りますし、公共交通機関でも、お店でもしっかり並んでもらわないと困ります。

ですが、割込まれた時、列に並んでない人がいた時、不愉快な思いがあっても、言いたいけど言えない、怖いなとか思う人もいると思います。

でも、そういう時ははっきり、『排队一下 (パイドゥイ イーシャー)』とはっきり言って構いません。
ちなみにこれは、『並べ!』という中国語です。
言葉が通じなければ、ジェスチャーでも構いません。それでも難しいようなら、近くの責任者や担当者にお願いして並ばせてもらうしかありません。

基本的に、中国人の多くは、はっきりルールを教えれば、理解して言うことを聞いてくれます。
しかも、観光客であれば日本に不慣れで、少し緊張感もあるはずなので、自国のルールとは違うんだなという認識はしてくれるはずです。
要は、情報を教えてあげれるかどうかが鍵となります。情報を与えれば、それだけ理解してくれるということです。

なので、中国人観光客に困ってる人や、商売がてらどうしようと悩んでる人は、とにかく、ストレートにYES,NOと情報を伝えてあげましょう。

それが一番の解決策です。

と、言うことで、とても長くなりましたが、今回はこの辺で。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回は、中国人のポイ捨てゴミ問題について書こうと思います。