インバウンド観光ビジネス ~中国専門ブログ~

中国住在歴12年の経験と知識から、対中国インバウンド観光ビジネスにおける考えや、提案を発信していきます。

第14回 中国人って本当に日本料理好き?

お久しぶりです。
日々更新していたブログでしたが、前回の第13回から少し時間が経ってしまいました。

さて、今回は、中国人の食事、特に味覚についてのお話をしていきます。

ここ数年テレビをつけると、世界では日本食ブームだ、和食は世界無形文化遺産で世界中の人に愛されてるんだというニュースや報道を見ますし、外国人が日本に来て、寿司、ラーメン、焼肉とみんな日本食大好きと言ってますが、本当にそうなんでしょうか?という疑問を中国人の感覚から紹介していきます。

特にここ10年の間に、上海や北京を中心とした、大都市部では、日本大手の飲食業界がどんどん進出しており、大ブームにもなっています。
私の知ってる限りでは、サイゼリヤ、ココ壱番、一風堂一蘭吉野家すき家松屋モスバーガーミスタードーナツはなまるうどんなどまだまだ全て挙げれば、キリがないほど、名前がでてきます。私の出身の九州からも、福岡の『筑豊ラーメン山小屋』が深セン駅構内に店舗を構えてたり、福岡の有名ラーメン店『一幸舎』は広州中心に拡げています。

なので、確かに、日本食がブームなのは間違いないですし、日本より1.5倍~2倍近い価格にも関わらず、大行列を作って並んで食べている現地の人たちが大勢います。

じゃあ、中国人からすると日本料理はすごい美味しいのか?というとこれはちょっと違うんです。

もちろん、美味しいと思ってもらってるとは思いますが、中国料理に比べたら中国料理が一番だと思っているはずです。はずと言うより、そう周りの中国人たちははっきり言っています。

そして、中国人たちからの日本料理に対して特に多い否定的な意見は、①味が薄い②味付けが甘過ぎる③野菜料理が無い④揚げ物ばかりが代表的に挙げられます。

この意見に対して、どう思いますか?その理由を解説していきます。

①味が薄い
これは、中国料理の味が基本濃いからです。濃いというよりも、はっきりとした味付けがされており、インパクトもはっきり出ているからです。中国も広いので、各都市や省によって、味付けや料理方法、使う調味料なども全く違うので、一色端にはできませんが、例を挙げると、上海料理は日本に近い甘い味付け、広東料理は日本で食べる中華料理に近い味付け、北京などの東北料理は、味が濃くてしょっぱい味付け、湖南料理はほぼ唐辛子で埋め尽くされた口から火が出るぐらい辛い味付け、四川料理は日本でも最近流行ってる山椒などのスパイスを効かせた、辛くて痺れる味付けなどと分かれてきます。
皆が、それぞれの味覚をもってる為、同じ中国人同士でも出身地によって味覚が異なっています。
そんな中で、日本料理は、甘めの味付け、繊細、優しい味が多いですが、この日本ならではの味覚をどこまで本気で美味しいと思ってもらえるかは分からないところです。もちろん、日本人ならこれが日本の味だと自信をもって提供するでしょうが、中国人からするとインパクトに欠けるなんとも言えない味付けだと思う可能性も十分に有るんです。

②味が甘すぎる
これも①と共通するのですが、上海料理の甘い味付けと日本料理の味付けは多少似てる要素もある為、上海人からすると日本料理は口に合う味付けかもしれません。しかし、上海人以外の中国人には、上海料理を嫌いな人も多く、上海料理は甘すぎて美味しくないという意見も各地方の人からもよく聞いていました。その感覚であれば、日本料理もどこまで美味しいと思ってるかは疑問なところです。

③野菜料理がない
これは意味わかりますか?
中国で生活してる方やしてた方は分かると思いますが、中国のレストランのメニューを見ると、野菜料理のメニューが豊富なんです。
野菜1種類で作る料理もあれば、野菜2種類ぐらいを使う料理とか、組み合わせはさまざまですが、どちらにしても主役は野菜なんです。
しかし、日本の居酒屋にいくと、野菜はサラダぐらいで、あとは、野菜を主役とした料理があまりないのが現状のはずです。
小鉢に入ったきんぴらゴボウやヒジキは中国人からすると、野菜料理と言う感覚ではないでしょうし、中国ではあまり馴染みのない料理と味付けなので好き嫌いも分かれるでしょう。それと、生野菜は中国人には食べれない人が多いです。最近の都市部では生野菜文化も入っては来ていますが、基本野菜は火を通して食べる文化の為、トマトであってもキャベツであっても、レタスであってもキュウリであっても炒めて食べます。
なので、生野菜に拒否反応を示す人もいます。

④揚げ物ばかり
唐揚げ、天婦羅、魚フライ、串カツ、トンカツなどなど、数多くの揚げ物があり、揚げ物は中国人にも大人気です。しかし③でも書いたように、やはり野菜料理とのバランスがとれてない為、揚げ物ばかりでは、バリエーションの少なさに、がっかりされてしまいがちです。実際、この意見も中国人たちから良く聞く意見です。


反対にめちゃくちゃ感動してもらえるのは、牛肉です。牛肉と言っても和牛です。神戸牛や松坂牛の超高級牛肉でなくても、通常レベルの和牛でも大満足してもらえます。私の知人は、中国では牛肉は大嫌いで、一切口にしなかったのに、日本で和牛を知ってからは、牛肉が大好きになりました。ただ、中国では牛肉はやはり食べれないそうです。(中国の牛肉は硬くて、臭みがあります。)

そういうことであれば、牛肉は中国人に受けるのか?というと、これも年齢層によっても分かれるところで、脂身の多い和牛は、中国人の年配者には胃に重いとあまり好まれない人もいます。(もちろん個人差があるので一概には言えませんが) 

なので、現実、味覚って難しいなと思っています。私自身も中国に行った頃、慣れない味などもありましたし、徐々に慣れていった食べ物もありました。しかし、観光客にとっては、たった、数日の思い出となる為、せっかくなら、口に合う美味しい料理を食べてほしいと思っています。
もし、飲食店が中国人観光客をより招く作戦をとるなら、野菜を中心としたメニュー開発を進めるのも売り上げに繋がる面白い試みかもしれません。

ということで、今回はこの辺で。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回は、この続きである、寿司、刺身、ラーメン編について書いていきます。