インバウンド観光ビジネス ~中国専門ブログ~

中国住在歴12年の経験と知識から、対中国インバウンド観光ビジネスにおける考えや、提案を発信していきます。

第16回 中国人とアメニティグッズ

今回は、ホテルについての話をします。

先ず、中国のホテル事情から話をすると、一応中国国内のホテルにもランクがあり、3つ星、4つ星、5つ星とレベルがあります。
もちろん、世界的にも有名なホテルも多くありますが、実際泊まると、5つ星ホテルなのに大したことなかったり、結構な金額を払ってるのに宿泊者をがっかりさせるようなホテルもあります。
そのような話をよく聞くので、以前中国のホテルに詳しい人に、質問したことがありました。すると、意外な答えが返ってきました。
『中国のホテルの星は、ホテル側の自己申告』と。
本当にそれが真実かは分からないのですが、ホテルのランクとホテルの中を見ると、それも納得いく感じもあります。

また、最近もニュースなどで話題になっておりましたが、ホテルに用意してあるタオル問題。

私も、中国でホテルに泊まる時は、耳にタコができるほど、妻から、ホテルのタオルは絶対使うなと言われていました。
そうは言っても、大丈夫だろう、そこそこのホテルであれば尚更そう思ってましたが、ニュースにもなってたように、客がチェックアウトした後にタオルで床やトイレを拭いてたことが明るみになり、妻からの忠告を流してはいけなかったとも感じていました。

そして、今回のテーマであるアメニティグッズ。
中国のホテルにも、歯ブラシや、くし、カミソリ、などの基本アメニティグッズからオシャレなグッズなどもホテルによっては見かけることもあるので、中国人でもホテルに泊まる機会がある人は、アメニティグッズがどんなものかは分かっているはずです。

ですが、時々、問題になってるのが、日本への観光で泊まったホテルで、アメニティグッズ以外の物を持ち帰ろうとするケースです。

実際、私の周囲の中国人たちの中にはさすがに、このようなトラブルを招いた人は誰もいませんが、日本のあちこちのホテルや旅館などでの被害報告も出ており、ネット検索するだけでも、あれこれ出てきます。

では、なぜこんなことが起こってしまうのか?

ネット記事などには、ドライヤーや浴衣、掃除機、電球などの部屋に置いてる備品などを持って帰られた内容なども書いてましたが、中国のホテルでそれを持ち帰れるかと言うと、答えはNOです。普通の、中国人の人もそれらを持って帰っていいという認識はないと思います。

もちろん、洗面所に置いてあるアメニティグッズは中国も持って帰っていいように置いてますし、日本もそこは大きく違わない置き方をしてあります。ただ、よくよく考えると、ドライヤーは日本は引出しに入ってるケースが目立ちますが、中国はドライヤーが壁に設置してあり、持ち出したくても、持ち出せない置き方になっています。さすがに、掃除機や電球については、中国でも持ち出しは先ず有り得ない為、確信犯のような気もしますが、旅の気の緩みか、ホテルの宿泊自体に不慣れな人が純粋に貰っていい物だという認識の可能性は0ではありません。

なので、受入れ拒否や受け入れを消極的にしてるところもあるかもしれませんし、取られても泣き寝入りしてるところもあるかもしれません。

じゃあ、どうやって、それを防ぐべきなのか?

結構、簡単でどこの旅館やホテルでも実践できる解決方法が1つあります。

海外によく行く人からすると普通の事とは思いますが、中国であっても、チェックアウトの時は部屋キーを返すだけではなく、必ずフロントの人がOKを出すまでその場を離れてはいけません。その待たされてる間何をされてるかというと、部屋の最終点検なんです。
従業員が、チェックアウトした部屋を一通り確認し、有料の飲み物を飲んでないか?備品がなくなってないか?などのチェックをしています。中国のホテルは、宿泊前に、必ず、数百元(約5000円~1万円)のデポジットを払うのが通常になっており、もし、金銭的なトラブルが起こった場合、そのデポジットからお金を支払うシステムになっています。

なので、中国での宿泊感覚が当たり前になってしまった私自身が、日本のホテルに泊まりチェックアウトした時、キーを返してすぐに、『ありがとうございました』と言われたのは、すごく違和感がありました。もし、自分が嘘ついて何か盗んでたり、部屋内を故意に傷つけてたり、有料のドリンクを飲んでいて自己申告してなかったらホテルはその後どうするんだろう?と。

日本人のホスピタリティの素晴らしさ、客を一番と思い信じる経営側の気持ちは本当に素晴らしいと思います。
ただし、その一方で、既に日本人社会だけでは成り立っていない現実があるわけで、これまでの日本人のみでの常識や価値観は変えていくべきです。そうでないと、今後も、宿泊してもどんどん物が盗まれるようなことが起こってもおかしくないですし、そこに付け込む外国人も既に出てきてる可能性も有ります。

先ずは、早急にホテル、旅館もチェックアウト時には、お客を数分待たせてもいいので、必ず部屋や備品のチェックをすることを徹底すべきです。
中国でも他国でも常識の行為なので、そこは、お客からしても疑問には思わないはずです。
旅館やホテルの損害・リスクを回避するためにも、先ずは日本全国の宿泊施設で徹底していくべきことであると考えています。
今後、外国人がどんどん増えていけばいくほど、このような問題は広がっていくと予想されます。
日本のこれまでの固定概念や常識を捨てて、外国人と上手く渡りあう為の、施策を考える時になっていると思っています。

ということで、今回はこの辺で。
最後まで読んでいただきありがとうございました。