インバウンド観光ビジネス ~中国専門ブログ~

中国住在歴12年の経験と知識から、対中国インバウンド観光ビジネスにおける考えや、提案を発信していきます。

第11回 もしや、箱の中身を確認してない?

前回の値切り問題の次も、同じ買い物の話となります。

いきなりですが皆さんに質問です。中国人が買い物中、特定の商品の前で不可解な行動をしてるのを目の当りにしたことはないでしょうか?

これも中国人のことを知ってる人であれば、結構あるあるの一つなんですがいかがでしょう?
 
答えは、陳列してる商品の箱を手に取り、中身を取り出して、商品を確認する行為です。

その他にも、携帯で写真を撮ったり(お土産として頼まれたものを間違いないか写真に撮り、相手に写真を送って確認してもらうため)、写真だけではなく、テレビ電話を繋げて、その場で商品を見せながら確認してたりという、光景も多々あるのですが、今回は、箱の中身を開けてしまう話をしていきます。

話が10年以上前に遡りますが、中国で嫁と知り合ってまだ間もない頃、一緒に買い物に行くと、嫁が、興味ある商品を手に取り、箱に書いてある商品説明を読み、それを買おうとする時に必ず、陳列されてるその商品の箱を開け、中身を取り出し、じっくり確認し、その商品を持ってレジに行ってました。
正直、自分は、え?店の中で何やってるの?店員見てたらやばいよ。と結構、ドン引きしており、ちょっとそれはやめた方がいいんじゃない?そもそも何故箱の中身を開けて商品見てるの?と、注意したつもりだったんですが、逆に、注意し返されてしまいした。

その注意の内容が、『もし、箱の中身が違うものだったり、欠陥品だったらどうするの?誰も責任とってくれないよ。自分で確認しないで騙されたらどうするの?』でした。もう、言ってる意味が分かりません。中身が違うなんて有り得るのか?そもそも欠陥品を売ってる?騙される?だって、ここは、それなりのちゃんとしたスーパーだよ。と混乱しました。

それを指摘された時は意味不明だらけで分からなかったのですが、後から、この意味が徐々に分かってきました。

それは何か。中国では、例え、その商品がしっかり棚に陳列されていても、箱にしっかり商品記載が書いてあっても、サンプル品が隣に出てたとしても、実際は箱と中身の商品が違うことがあったり、中身は同等の商品であっても欠陥品が入っていたりすることがあるんです。もし、中身を確認しないまま帰り、家で確認後、商品が違ったり欠陥だったりしても、お店が取り合ってくれない可能性も有り得るんです。(日本みたいに客のクレームに対し丁寧に対応してくれないので)。

このようなことが起こりえる為、中国人は昔から商品を買う時は先ずは自分の目でしっかり中身を見、欠陥でないかの確認をし、それからようやくお金を払いに行くという習慣になってしまったようです。

この感覚、日本人には分からない人が多いと思います。ただ、実際自分も、中国で商品を買う時は、結構な率で購入後、後悔するケースや、商品に対するクレームも取り合ってもらえなかったりということを経験してきたので、中国人のこの習慣も、中国生活を長く続ければ続けるほど、徐々になるほどなと共感できるようになりました。
 
中国もここ最近では、お店の管理も厳しくなったりしてることもあり、イチイチ、商品を確認する必要性もなくなってきてるとは思いますが、昔からの習慣の名残や、今現在も心からは信用できないという人もいるので、一回一回、箱の中身を確認しないと安心して買えないと思ってる人もいるでしょう。

結果、日本に旅行に来て買い物しても、その習慣と、常に疑いの目を持ってる為、ついつい箱の中身を確認する行為に繋がってるんです。

日本は、大丈夫だよ、中身を確認しなくてもちゃんと欲しい商品が新品で入ってますよとワザワザ、アピールする必要まではないと思いますが、箱の中身を開ける行為自体は、お店としても迷惑行為になると思うので、はっきりとそれだけはやめてください等のしっかりした注意や注意書きは必要だと思います。

もし今後、箱の中身を開けて確認してる観光客を見つけたら、ただただ頭ごなしに注意するんではなく、上記に書いたような理由や習慣が背景にあるうえで、開けてしまってるんだなということを理解してあげる、知っていることで、また少し違った注意の仕方や伝え方になるのかなと思っています。

中国人観光客が、日本に旅行に来たからといって、急に自分たちの国の習慣や考えから日本の習慣に合わせられることなんかは先ずありません。なので、一つ一つ、お互いがお互いの誤解を解きながら、理解を深めることが大事です。

ということで、今回はこの辺で。
次回は、飲食関連マナーなどの問題について書いていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。