インバウンド観光ビジネス ~中国専門ブログ~

中国住在歴12年の経験と知識から、対中国インバウンド観光ビジネスにおける考えや、提案を発信していきます。

第13回 えっ!?これが中国人の食事の頼み方?

前回は、中国人の食事中のマナーについて、話をしましたが、今回は食事の注文マナーについての話をしていきます。

注文マナーと言っても、ピンとこない人もいると思いますが、実は私も最近までこの注文マナーについて巷で問題が起こっていたことを知りませんでした。

ある日、知人の飲食店のオーナーさんより、こんな話がありました。

『中国人観光客が増えてきて、有難いんだけど、複数人で来るのに関わらず、売り上げがあまり上がらないんだよね。どうしたもんかなぁ』

ここだけ聞くと、なぜ、お客が増えているのにも関わらず、売上に直結してないんだろうか?と疑問に思えます。

そして、その後に続く話を聞いて、私も、あっそうか、なるほど、盲点だったと納得しました。その内容とは、

『複数で来るのに、注文数はほんの僅か。例えば、3人で来ても2人分しか注文せず2人分を3人で分ける。1人1オーダー、もしくは1人1セットの注文をお願いしたいのに、上手く言葉も通じず、コミュニケーションも取れず、諦めた。しかも1組とかではなく、何組もそんなお客が来るから参っちゃう』

と。この話を聞いたとき、私の周囲にいた、日本人の人たちは不思議そうな顔をしていましたが、私はこの中国人らの注文の仕方にすごく納得してしまいました。もし、この話で、中国人側の注文の仕方に納得できる人は、中国人の事をよく知ってる方でしょう。

なぜ、このような注文の仕方をされてしまうのか?

それは、中国には料理を1人1つという概念が無いことが挙げられます。ただ、もちろん、中国にも麺類もあれば、定食のようなものもあれば、丼のようなものもあります。これらは、1人1つの料理です。ただ、基本、このような料理は、昼食だったり、食堂だったり、ファーストフードだったり、時間がない時にチャッチャッと済ませたい時の料理であって、ディナー形式の複数人で食事を楽しむとなると、回転テーブルに大皿料理が並べてあり、みんなで少しずつシェアして食べるというのが通常です。日本でも中華料理屋は、ほぼそんな感じだと思います。

要は、大皿料理のシェアという感覚が根付いてるため、いくつかの料理を頼んでみんなでシェアしようという考えになるわけです。

じゃあ、3人いるのに3人分頼んでシェアすればいいのに?と思うでしょう?

おそらく、ここは推測ではありますが、どんな料理か分からない、味覚が合うか分からない料理をたくさん頼んで、もし口に合わなかったら?と考えると必然的に少量注文になる、それと単純にそのお客からすると1個1個の料理単価が高いと感じてるからということが考えられます。

また、これが単品料理ならまだ大目に見れるが、1人1セットメニューに対し、2人で1人分のセットをシェアする人もいるとのことで、そこは真剣に困っていました。

ただ、これも、中国であれば、普通に有り得る注文の仕方だろうと思います。当の私自身の話ですが、中国で妻と鉄板焼屋に行った時、1人分を2人でシェアし、足りなかったら、単品を頼むということをやっていました。その時の妻の言い分としては、1人分頼んでも全部食べれるか分からないし、セット内に入っていない単品メニューも食べてみたいから、1人分を2人で分けて、セットに入ってない単品を頼めば、いろんな種類が食べれて、コストもかからないと言ってたのを思い出します。

おそらく、セットメニューについては中国人観光客も同じような考えなのかもしれません。

こうやって、中華料理と日本料理の文化の違いと、注文の仕方を比較していくと、なるほど、そうなのかということが理解できてくると思います。

そこを理解した上で、じゃあ、中国人観光客に、きちんと注文させる方法や仕組みをどうすべきかを考え、お客1人1人に、はっきりとそのお店での注文の仕方とマナーを伝えていくしかありません。そこを事前にしっかり伝えておけば、中国人観光客も理解、納得をし、お店の要望通りトラブルなく注文してくれるはずです。先ずは相手にきちんと伝える努力が必要です。受け入れるお店側としてもしっかり対策をとり、笑顔で美味しかったと帰ってもらえればそこからSNSでの拡散に繋がり、中国人観光客に大人気のお店として話題になる可能性もありますからね。

ということで、今回はこの辺で。
最後まで読んでいいただきありがとうございました。
次回は、中国人の味覚についての話をしていきます。